まだ少しだけ潤んでいる瞳。
はにかんだ様に笑うが可愛く思えた。






confess frankly







バッシュを見ると綻んでしまう口元をはそっと隠して小さく笑う。
疑問符を浮かばせた様な顔をするバッシュ。

真面目な顔つきに似合わず首元につけたままのリボンが妙に可愛らしい。
これでは誕生日の本人よりも自分に対してのご褒美のように思えた。


「何をそんなに笑っているんだ」

「プレゼントみたいだなって」

「?」

「バッシュが」


指先で示してまた笑う
困ったようにそれに手をかけ解くバッシュ。


「だが、どうしてリボンを?」

「これね、色々な障害から護ってくれる特殊なリボンなの。
 売っているアクセサリじゃ着けるのも限度があるし、これならあんまり邪魔にならないかなと思って」

「それでわざわざ討伐に行ったのか」

「バッシュが少しでも苦しい思いをしなくて済むなら、これじゃ足りないわ」

「いいや、十分すぎる位だ」

「そう言ってくれると嬉しいけど」

「大切にしなくてはな」

「ありがとうバッシュ。そうだ、結んであげようか?」

「ああ、頼む」

「どこにする?」

「手首につけてくれないか」

「え、でも邪魔にならない?」

「いや今日だけだからいいんだ」


そう言うとバッシュは掌をと重ねあわせ指先を絡ませる。
持っていたリボンをかけると結ぶように促した。


「だって、これじゃ」

「一緒にやれば結べる」

「そうじゃなくて―」


動揺してリボンの端を持っているだけの
それをよそに縛り終えたバッシュは満足気な顔をする。


「こんな縛り方して、、、解けなくなったらどうするの」

「それでも構わんさ」

「な、、、」


その言葉に絶句するの様子を楽しむように鼻で笑ったバッシュ。



「今日が終わるまではこうしてて欲しいんだか、嫌か?」

「。。。分かってるくせに聞くなんて」

「聞かないと分からないだろう」

「こんな時だけ」

「卑怯か」

「だってずるい。私が聞いたら渋るのに」

「・・・・そうだな」

「嫌なんて言うわけないんだから。むしろ甘えてほしいの、好きでいてくれるなら尚更」

「本当はどうすべきなのか分かっていたんだ。
それなのにいつも冷静に振舞っていたが、、、もう無理だろうな。今日のような辛い思いはしたくない」

「、、、でも、それは私が―」

「あの日追いかけて話をすればなこうはならなかっただろう?」

「・・・・・・」

「つまりもっと自分の心に素直になれば済む問題だ」

「―っ!?え、、待って、ど、どうしてそうなるの!」


止めようとしても押さえられた手、逃げようとしても繋がれた掌。
事態は何処かへと傾き掛けている。


「君にキスがしたくなったんだ」

「それは嬉しいけど。リボン、、、、、解いて」

「『嫌じゃない』と俺は思ったんだが違うのか」

「確信犯ッ!―あ、ちょッ、、と・・・・―バッシュ!!」

「そうやって呼ばれる名前も好きだがな」

「何言っ―」


触れるだけのキスで言葉を止めて、柔らかい唇を少し噛めば聞こえる甘い声。

今日が終わるまでの残り数時間。

それまでは俺だけのもの――独占では飽き足らない愛情による支配。